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「緩和ケア」2015年3月号
エシックスの知恵袋〈3〉 末期患者さんの希望が害をなす医療行為だったら…

瀧本 禎之(東京大学医学部附属病院 患者相談・臨床倫理センター)
金井 良晃(同 緩和ケア診療部)
海津 未希子(同 看護部 がん看護専門看護師)

患者 
Cさん,70歳代前半,男性。発症前は,自営業で行ってきた仕事に誇りをもち,入院後も,事業のことが気になっている。本来は穏やかな性格だが,苦痛が強い時には声を荒げる場面もある。

家族 
60歳代後半の妻と2人暮らし。独身の長男が隣県に在住。

経過
胃がん,肝転移,腹膜播種。1カ月前にBSC(best supportive care)となっていた。その後,徐々に腹水が溜まり始め,外来にて利尿剤が処方され,経過をみていた。しかし今回,腹水による苦痛が増悪し(1カ月で体重5㎏増加),経口摂取低下,ADLの低下も認められたため,腹水コントロールと,今後の療養環境調整目的にて,入院となった。
入院後,利尿薬の変更を行ったが,コントロールがつかず,腹部膨満感の苦痛が強かったため,3日目に腹水穿刺2,500mLが行われた。腹水穿刺後は,食事摂取量も一時的に増え,笑顔がみられるようになった。
その後もCさんは,腹水による腹部膨満感が強くなると,腹水穿刺を希望され,7日目には2,500mL,10日目には3,000mLの腹水穿刺が行われ,12日目には残務整理のため,半日の間,外出(帰宅)することができた。この時,主治医からは,残された時間に限りがあるため,やれることはやっておいたほうが良いと告げられている。15日目に,再度Cさんは,腹水穿刺を希望したが,採血の結果,著明な腎機能低下(尿素窒素60.2 mg/dL,クレアチニン 1.8mg/dL)と電解質異常(ナトリウム123mEq/L,カリウム 6.5mEq/L)が認められた。主治医は,最悪の場合,死期を早める危険性があるため,これ以上腹水穿刺は行わない方針とした。しかしCさんは,リスクを承知のうえで,「腹水穿刺をして苦痛を緩和してほしい」と訴え続けた。Cさんの妻と長男は「本人のつらさがとれるなら,望むようにやってあげてほしい」と希望しており,プライマリーチームとして,このような状況にどのように対応したらよいか,緩和ケアチームに相談があった。

◆ この文献の続きは、下記書籍からお読みいただけます。

Vol.25 No.2

緩和ケア 2015年3月号

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